今回ご紹介するのは「マネックスグループ」。
最近の仮想通貨熱の影響を受けて、傘下の「コインチェック」での取引が活況になっているようです。
取引が増えれば、当然売買手数料が増えるので、業績への好影響が期待できます。
2021年1月29日(金)に2021年3月期第3四半期決算発表がありましたので、その結果も踏まえて今後について考えてみたいと思います。
【この記事の目次】
この記事を書いている私は、29歳の「ごく普通のサラリーマン」です。
株式投資の経験は2010年から10年ほどで、現在は50銘柄以上、約1,500万円の株式を保有しています。
また、現在マネックスグループ株を500株保有しており、売却時を考え始めていることから今回の記事をまとめました。
そんな私の分析ではありますが、よろしければご覧ください。
2021年3月期 第3四半期決算の結果
2021年1月29日(金)に決算発表がされましたが、かなり好調な結果となったようです。
第3四半期終了時点で、連結税引前利益において「前年同期比2.9倍」となっています。
特に伸びているのは「クリプトアセット事業(暗号資産)」で、第3四半期だけで24.2億円の利益を稼いでいます。
仮想通貨高騰・取引活況の影響が大きく、もしこれが続けば1つの事業だけで年間約100億円を稼ぎ出す計算となります。
もちろん楽観的過ぎる試算ではありますが、他のセグメントも伸びているので、業績好調の結論は変わらないでしょう。
さて、今回の決算が好調なのはわかりましたが、もう少し長い目で見た分析もしてみたいと思います。
マネックスグループの事業内容
マネックスグループは金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主にして事業展開をしています。
日本国内だけではなく、米国及びアジア・パシフィックに主要な拠点を有し、海外にも進出しています。
そしてセグメントは5つに分類されています。
- 日本
- 米国
- アジア・パシフィック
- クリプトアセット事業
- 投資事業
このセグメント構成比を見てみると、利益の稼ぎ頭がこの1年で大きく変わっていることが見て取れます。
やはり「クリプトアセット事業」の伸長が著しく、利益面では最も稼ぐようになっています。
ただ、日本・米国セグメントが決して不調なわけではなく、この2セグメントにおいても前年比では伸長しています。
今後も3つのセグメントが柱となって、それぞれが伸びていけば安心して見ていられそうですね。
過去の業績
過去の業績は以下のようになっています。
マネックスグループの収益や利益は、年度によって増減が大きくなるのが特徴的です。
証券業界では比較的ありがちなのですが、市場の影響が業績に出やすいためだと考えています。
2021年3月期の予想については、会社側からは公表されていなかったので、個人的に予想してみました。
とはいっても、第3四半期の業績がこのまま続いた場合の数値という単純なものになっていますが…
本当にこの業績が達成されて、来季以降も勢いが続くようであれば、株価にもプラスに働くかもしれませんね。
株主優待
マネックスグループの株主優待は「マネックスポイントの付与」です。
株主優待獲得の条件はやや特殊で、通常より以下2つの条件が加わっています。
- マネックス証券で株式を保有
- 期間内に1回以上取引を実施
上記の「期間内の取引」についてですが、対象の期間は以下のようになっています。
また、保有株数に応じて獲得できる「マネックスポイント」の量が変わります。
保有株数が増えるほど、付与率と付与上限が上がっていきます。
また最低でも、999株までの保有なら50ポイント、1000株以上の保有なら500ポイント獲得できる仕組みです。
そして獲得したポイントは、「1ポイント=1円」として、以下様々な使い道があるようです。
- 株式売買手数料
- 暗号資産と交換
- 他のポイントサービスと交換
- 寄付
- 書籍等、各種グッズと交換
この内容だと、あくまでもプラスアルファとしては嬉しいですが、株主優待目的で株式を保有する必要はないと感じます。
ちなみに過去、「ビットコイン500円分の付与」の優待がありましたが、現在は情報公開されていないようです。
株主還元の方針
マネックスグループでは株主還元の基本方針を以下のようにしています。
当社は、成長企業として必要な投資資金を留保しつつ業績連動型の株主還元を実施することを基本方針とし、複数年度にまたがる総還元性向は75%を目途といたします。
このうち配当はDOE2%を下限とし、株主還元は、配当の支払いもしくは経営判断に基づき機動的な自己株式取得により実施します。
マネックスグループは「総還元性向75%」を目標としており、株主還元に積極的です。
実際の過去の実績を見てみると、配当の支払いに加えて、自社株買いがかなり実施されています。
2021年3月期についても、好業績が見込まれているので、増配に加えて自社株買いが期待できるかもしれません。
また、同時に配当に対しては「DOE2%」という指標も取り入れられています。
これは株主資本配当率とも呼ばれ、自己資本の一定割合を配当として支払うという考え方です。
ちなみにこの指標に沿って考えると、現時点での配当支払いの下限は約6円となります。
DOEが気になる方はこちらをご覧ください。
配当利回り
続いて配当利回りですが、以下の数値を元に計算してみます。
株価:540円(2021年1月29日終値)
配当:9円(21年3月期予想)
ここから算出される利回りは1.67%となります。
配当利回りは決して高いとは言えません。
今は仮想通貨の影響もあって、マネックスグループの株は買われているので、それが要因と見ることもできるでしょう。
個人的には、株価に過熱感が出て配当利回りが下がるのであれば、売却も視野に入れたいと考えています。
株価の見通し
まずは直近5年間の株価推移を確認します。
2018年にコインチェックの買収を発表した時に、大きく株価を上げましたが、その後徐々に下落しました。
新型コロナウイルスの影響もあって、一時は150円近くまで下げましたが、再び仮想通貨市場の活況もあって、現在株価が急伸中です。
理由も、動き方も前回の急伸時と似ていることを個人的には懸念しており、今回もどこかで下落が来るのではないかと警戒しています。
前回よりは好業績という実績があるので、崩れにくいとは思うものの油断はできません。
また、割安性の指標となるPBRとPERを見てみると、
PBR:1.79倍 PER:27.84倍
(※2021年1月29日終値時点)
となっており、割安感は全くありません。
PERについては今期の好業績を考慮しても15倍程度と、それでも割安ではありません。
つまり、現時点でも期待が先行していると言えるでしょう。
完全に割高とまでは言い切れませんが、買うには勇気がいる状況です。
投資判断
最後に投資判断をしてみたいと思います。
今回は購入と売却の両面を考えてみます。
購入の投資判断
結論からすると、個人的に購入はおすすめできません。
もう既に、非常に多くの取引参加者がいて、かなり思惑で株価が動いていると思うからです。
実際に最近の値動きも荒く、割安感もまったくありません。
そのため、下手に手を出さない方が良いでしょう。
売却の投資判断
一方で、今回の分析におけるもう1つの目的である「売り時」についてですが、自分なりに仮説を立ててみました。
条件は以下の2つです。
- 純利益(年):20,000百万円
- PER:10倍
今回の第3四半期決算の結果が1年間続くと、純利益が約20,000百万円となります。
そして、PERは同業の「SBIホールディングス」を参考に10倍に設定しました。
この条件で計算すると、1株利益は約80円、予想株価は800円となります。
今後の仮想通貨市場の動向次第ではありますが、ひとまず800円を目標に売却を考えていきたいと思います。
以上、マネックスグループの分析でした。