今回は総合商社銘柄の1つである「丸紅」について紹介していきたいと思います。
2020年3月期は原油価格暴落の影響で、大幅な減損が発生したことから、業績の下方習性・赤字転落を発表していました。
5月7日(木)に決算発表があり、2020年3月期の決算が確定しましたので、それを踏まえて今後の見通しについて考えてみたいと思います。
【この記事の目次】
それでは早速内容に入っていきましょう。
丸紅の事業内容
丸紅は総合商社として、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引や、事業への投資・資源開発などをしている企業です。
事業の範囲は、かなり広い分野に渡っています。
セグメントも以下の表の通り、他の総合商社と比べても細かく分類されているのが特徴です。
セグメント構成比については以下のようになっています。(※2020年3月期実績より)
当期利益は今回赤字のセグメントが多いため、売上総利益や総資産から見ると、「食料」や「アグリ事業」のウエイトが高いです。
とは言え、各セグメントに資産が分散されていることも同時に見てとれるでしょう。
直近の業績
直近の業績は以下のようになっています。
2016年3月期には総合商社各社が減損で赤字転落する中、黒字で乗り切った経緯があります。その後は順調に増益を確保してきました。
しかし今回「コロナウイルス」及び「原油価格の下落」による影響で赤字となっています。
今回発生した主な減損は以下の通りです。
これだけで合計で約3,300億円の減損が発生しています。
2021年3月期は純利益が「1,000億円の黒字」予想となっていますが、今後の経済状況によって変動があると思っておいた方がいいでしょう。
株主還元の方針
丸紅は株主還元に関して、以下のような基本方針を出しています。
連結配当性向25%以上、かつ各年度の期初に公表する予想配当金を下限とする
この方針に関しては、2021年3月期も継続されます。
配当額の推移は以下のようになっています。
2020年3月期の「決算配当は17.5円を維持」し、年間35円の配当が支払われることになります。
しかし、2021年3月期に関しては以下のように公表しています。
「年間配当⾦は15円/株(中間7.5円/株、期末7.5円/株)とし、これを下限とする。」
2020年3月期と比べると半分以下となる大きな減配が発表されました。
もちろん「下限」としていることから、業績次第では15円を上回ることもあると思いますが、厳しい発表になっています。
配当利回り
続いて配当利回りですが、以下の数値を元に計算してみます。
株価:471.4円(2020年5月8日終値)
配当:15円(2021年3月期予想)
ここから算出される利回りは3.2%となります。
減配の影響が大きく、高配当利回りで有名な総合商社の中では低い数字となっています。
配当が再び増える見通し立つまでは、個人的にはあまり魅力的に感じられません。
株価の見通し
まずは直近5年間の株価推移を確認します。
業績が落ち込んでいた2016年に底値をつけた後、株価が上がっていましたが、今回のコロナショックで大きく下落しています。
過去5年間でほぼ最安値となっていると言っても過言ではありません。
配当額で見れば、2021年3月期がここ5年間で最低となる可能性が高いので、一段安の警戒もしておく必要がありそうです。
割安性の指標であるPBR、PERを見てみると、
PBR:0.51倍 PER:赤字
となっており、PBRの面からはかなり割安といえる状態です。
これは総合商社全般に言えることなので、他と比較した表を用意しました。
(※2020年5月8日終値時点)
「丸紅」は総合商社の中でも割安な銘柄に分類できます。
2020年3月期は総合商社の中で唯一赤字となったこともあり、PBRからは最も割安となっています。
しかし、決算発表があった5月7日には、一時「7%超安」を記録しており、市場は割安性よりも業績悪化を懸念しているように思えます。
そこで個人的な判断としては、業績の見通しがつくまでは「無理に手を出す必要はない」と考えます。(もちろん割安な内に購入するという判断もあるとは思いますが…)
それよりは他の総合商社銘柄を検討してみても面白いでしょう!
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