今回は「宇部興産」について紹介します。
「宇部興産」は『化学』『建設資材』『機械』を中心とした製造業の会社です。
個人的には高配当利回り銘柄の1つとして注目していまして、株主還元指標にDOE(株主資本配当率)を採用していることもポイントです。
上記内容も含め、最終的には投資判断までしていきたいと思います。
【この記事の目次】
それでは早速内容に入っていきましょう。
宇部興産の事業内容
宇部興産の事業は、以下3つのセグメントに分けられています。
- 化学
- 建設資材
- 機械
化学事業では、基礎化学品やナイロン製品等の化成品、回路基板やリチウムイオン電池に使用する化学素材を製造・販売しています。
建設資材事業では多様な建材やセメントを、機械事業では世界の自動車メーカーに採用されているダイカストマシンと射出成形機等を扱っています。
2020年3月期のセグメント別の実績は以下のようになっています。
構成比を見てみると、化学と建設資材の2本柱と言えそうです。
化学、建設資材ともにどちらかと言うと景気に左右される印象が強いです。
そのため、近頃の新型コロナウイルスの影響は受けやすい事業内容だと感じています。
直近の業績
直近の業績は以下のようになっています。
売上、利益とともに増減を繰り返しながら増加傾向にあるといった感じです。
完全な右肩上がりとは言えませんが、赤字がないこともあり、安心できるだけの収益力はあると思っています。
2021年3月期は純利益で13,000百万円予想の減益が予想されていますが、それが底だとすれば問題視しなくても大丈夫でしょう。
株主還元の方針
宇部興産では株主還元の基本方針を以下のようにしています。
・DOE(株主資本配当率)と連結総還元性向(⾃⼰株式取得を含む)を重視
・⾃⼰資本及びキャッシュフローの状況に応じ成⻑投資も積極的に⾏い、将来の株主還元をさらに充実
上記方針を踏まえ、数値目標は以下に設定しています。
①DOE(株主資本配当率) 2.5%以上
②連結総還元性向 30%以上 (3ケ年平均)
そして直近の株主還元実施状況はグラフで確認しておきます。
宇部興産は、株主還元指標にDOE(株主資本配当率)を採用しています。
DOEとは、株主資本の内どれだけの割合を配当に回すかを示す指標で、2020年3月期の宇部興産は約2.7%となっています。
DOE採用時における配当の変動幅は、配当性向の時と比べて小さくなるのが特徴なので、株主還元の方針からは安定配当が期待できると考えます。
DOEの詳細は以下の記事をご参照ください!
配当利回り
続いて配当利回りですが、以下の数値を元に計算してみます。
株価: 1,842円(2020年11月27日終値)
配当:90円(21年3月期予想)
ここから算出される利回りは4.89%となります。
配当利回りはかなり高い部類に入ります。
2021年3月期は減益が予想されていますが、配当額は90円に据え置かれています。
またDOEを指標とした配当方針と、新型コロナウイルスの影響も徐々に改善していくことを見込んで、安定配当が期待できると考えています。
株価の見通し
まずは直近5年間の株価推移を確認します。
株価は業績の良かった2018年前後にピークを迎え、そこから下落しています。
新型コロナウイルスの影響もあって、過去5年間の中でも低い水準にあると言えます。
また、割安性の指標となるPBRとPERを見てみると、
PBR:0.56倍 PER:14.33倍
(※2020年11月27日終値時点)
となっており、PBRはかなり割安、PERは普通といった感じです。
しかし、純利益の2021年3月期予想は13,000百万円ですが、これが仮に2倍の26,000百万円になったとすると、PERは約7倍となり割安な指標となります。
この利益水準は過去の実績を考えると十分にあり得ると考えています。
新型コロナウイルスの影響が無くなり、業績改善を前提とするならば、株価は割安と言えそうです。
まとめ
最後に投資判断をまとめてみたいと思います。
宇部興産のポイントはやはり「株主還元」にあるでしょう。
- 高い配当利回り
- DOEを指標とした安定配当
理論上は、株主資本(=自己資本)が減らない限り、減配になりません。
2021年3月期の業績においても、「純利益>株主還元」となる予想なので、株主資本は増加し、配当は維持できるでしょう。
唯一の懸念は、業績が悪化した状態がどの程度続くかですが、長い目で見るならば保有しておいても良い銘柄ではないかと思います。
個人的には購入を狙っていきたいです!
以上、宇部興産の紹介でした。