不動産投資でローンを組んでいると一度は考える「繰上返済」
果たして、した方が良いのか、しない方が良いのか…
迷っている方も多いのではないかと思います。
結論から言えば、ケースバイケース、個人の運用方針に拠るところかとは思いますが、
その判断をする際に参考となる考え方を整理してみようということで、この記事を書くことにしました。
少しでも参考にしていただける部分があれば幸いです。
【この記事の内容】
この記事を書いている私は、30歳の「ごく普通のサラリーマン」で、年収は500万円ちょっと。
現在、中古区分マンションを1件保有して、不動産投資に取り組んでいます。
ちなみに、金利1.64%で約2,500万円のローンを組んでおり、実体験を踏まえつつ解説していきたいと思います。
繰上返済とは
まずは前提として、「繰上返済」という言葉の意味から確認をしておきます。
「繰上返済」とは、ローンを組んだ際に取り決められる「毎月の返済額」とは別に借入金の返済を行うことを指します。
また、毎月の返済金額にはローンの元金と利息が含まれていますが、繰上返済の場合は、返済するお金はすべて元金に割りあてられるため、
「ローンを返済する」ということだけに焦点をあてれば、効率的とも言えます。
繰上返済には2種類の方法がある
次に、繰上返済には以下2種類の方法があることを知っておくと良いでしょう。
- 返済期間短縮型
- 返済額軽減型
「返済期間短縮型」
繰上返済後も月々の返済額を変えず、完済までの期間を短くする方法「返済額軽減型」
繰上返済後の返済期間はそのままで、月々の返済額を減らす方法
それぞれの特徴の詳細と選ぶ際の考え方ついては以下の記事にまとめています。
それではここから本題となる、繰上返済のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
繰上返済のメリット
まずは繰上返済のメリットですが、大きく以下の4つが挙げられます。
- ローン支払総額を減らせる
- 金利変動リスクを軽減する
- 次の物件の購入可能性を上げる
- 頭金を入れるより柔軟な対応が可能
それでは1つずつ解説していきます。
ローン支払総額を減らせる
1つ目は最も重要なことですが、ローン支払総額を減らせることです。
ローンの返済は、「元金分」と「利息分」に分けられますが、利息は元金の大きさに比例して支払額が増えます。
そのため、繰上返済によって「元金」を減らしてあげれば、「利息分」の返済が減ることとなり、結果としてローン支払総額が減ることになります。
これこそが最もわかりやすい「繰上返済の効果」です。
金利変動リスクを軽減する
2つ目のメリットは、金利変動によってローン返済額が増えるリスクを軽減することです。
先ほど説明したとおりですが、ローンの元金を減らしておけば「利息分」の返済が減ることになります。
そのため、仮に金利が上昇して「利息」が増えることになったとしても、その影響を小さく留めることができるのです。
次の物件の購入可能性を上げる
3つ目は直接的な影響とまでは言えませんが、次の物件を購入する際に融資を受けられる可能性を上げることです。
不動産投資において借入可能額の上限は、大体年収の8倍と言われることが多いです。
例えば以下のパターンを考えてみます。
- 物件保有数:1件
- 借入額:2,500万円
- 年収:500万円
- 借入可能額の上限:4,000万円
この場合、もう1件新たな物件を購入しようとすると、融資を受けられるのは1,500万円までと想定されます。
それでは思ったような物件を購入することはできないかもしれませんね。
こういったことにならないように、前もって借入額を減らしておくのも1つの手段と言えるでしょう。
頭金を入れるより柔軟な対応が可能
繰上返済と同じような効果として、物件の購入時に頭金を入れる方法もあります。
しかし、頭金で入れてしまった資金は後から取り戻すことはできません。
そこで購入時はなるべく借入で資金をまかない、後から余裕ができた時に繰上返済をすることで、タイミング・金額とともに柔軟に対応することができます。
なるべく現金は確保しておくという考え方ですね。
以上が繰上返済の主なメリットになります。
繰上返済のデメリット
今度は繰上返済のデメリットですが、こちらも大きく4点が考えられます。
- 手数料がかかるケースがある
- 節税効果が減る
- 団体信用生命保険の保険効果が下がる
- 資金効率が悪い可能性
手数料がかかるケースがある
まず1つ目は、金融機関によって繰上返済には手数料がかかるケースがあることです。
繰上返済によって余計なコストがかかっては本末転倒ですので、手数料の有無は事前に確認しておきましょう。
繰上返済に手数料がかからない金融機関がありますので、金利等の他の条件が大差ないのであればそういったところを選んでおくと良いでしょう。
節税効果が減る
2つ目は節税効果が減る可能性があることです。
不動産投資において、ローン返済時に支払った「利息分」については経費として計上することができます。
繰上返済によって支払う利息額を圧縮した場合、反対に経費として計上できる金額が減ってしまいます。
そのため、結果として節税効果が減ってしまう可能性があるのです。
ただし、支払う利息額が減ること自体は良いことなので、個人的にはそこまで気にする必要はないと考えています。
団体信用生命保険の保険効果が下がる
3つ目は団体信用生命保険の保険効果に影響があることです。
団体信用生命保険とは、ローンを返済する人に万一のことがあった場合に、保険会社がローンの残債を弁済してくれる保険のことですが、
この保険効果はローンの残債(※契約によって全額であったり半額であったりします)に比例すると言っても過言ではありません。
そのため、団体信用生命保険を自身の保険として考えている場合は、繰上返済する前に慎重に考える必要があるかもしれませんね。
資金効率が悪い可能性
4つ目は資金効率に関するデメリットです。
繰上返済の効果は支払う利息額を減らすことですが、この効果はあくまでも「ローン金利」以上でも以下でもありません。
そこでポイントになるのが、繰上返済に使う資金を「他の運用」に回した時に繰上返済以上の利益が得られるかという点になります。
例えば株式投資に資金を回せば、年利3%程度の配当を得ることもできます(値動きのリスクはありますが…)。
元々を思い返すと、不動産投資のメリットの1つは「資金を借り入れて投資できること」です。
レバレッジ効果を見込んで不動産投資をしている場合、繰上返済はそれに反する行為となってしまうので注意しましょう。
繰上返済の効果はどのくらい?
ここまで繰上返済のメリット・デメリットを挙げてきましたが、実際に繰上返済をするか判断するにはその効果が金額でわからないと難しいでしょう。
そこでそれを計算する方法をお伝えしたいと思います。
考え方から始めるときりがないので結論だけ。
以下のスプレッドシートを活用してください!
ファイルコピーしていただいた後、以下4つの数字を入力するだけで繰上返済の効果を自動計算できます。
- ローン残額
- 繰上返済額
- 金利
- 残り返済期間
もちろん無料で利用可能ですので、自由に使っていただいて構いません。
もしも、無料じゃ気が引けるという方がいらっしゃれば、当ブログをこっそり宣伝していただければ幸いです…笑
まとめ
結論、繰上返済をするべきかどうかは「人それぞれ」かつ「状況次第」です。
しかし、方向性の考え方はお伝えできたと思いますし、ご紹介したスプレッドシートを活用しつつ、具体的な判断をしてもらえればと思っています。
個人的には、「資金を借り入れて投資できること」が不動産投資のメリットだと考えているので、安易な繰上返済はおすすめしませんが、
一方で、使用用途の無い現金を持っている場合や、リスクを軽減したい場合等は検討する価値はあると思います。
また、借入金利が高い場合、ローン残債が多い場合等も同様に検討してみても良いかもしれませんね。
以上、不動産投資における繰上返済のメリット・デメリットについてでした!