資産運用には様々な種類がありますが、中でも最も一般的なのは「金融資産への投資」でしょう。
「金融資産への投資」と「不動産投資」、果たしてどちらが良いのかと言われると、答えに迷うものです。
結論、どちらが良いかを決めるのは難しいですが、「どちらが自分に合っているか」であったり、「資産の配分をどうするか」を考える上では、その特徴を知っておく必要があります。
そこで今回は、「金融資産への投資」と比べた時に、「不動産投資」の気になる部分である「流動性リスク」と「価格の不透明性」について解説をしていきたいと思います。
不動産という資産の特徴を理解いただくきっかけになれば幸いです。
【この記事の内容】
この記事を書いている私は、29歳の「ごく普通のサラリーマン」で、年収は500万円ちょっと。
現在、中古区分マンションを1件保有して、不動産投資に取り組んでいます。
株式投資を中心に金融資産への投資も10年ほど経験がありますので、両面を視野に入れた解説をしていきたいと思います。
金融資産と比べた時の不動産のデメリット
不動産投資を金融資産への投資と比べた際のデメリットとして挙げられるのは、大きく以下の3つです。
- 流動性の低さ
- キャッシュインまでに時間がかかる
- 価格が不透明である
「流動性の低さ」と「キャッシュインまでに時間がかかる」の2つはやや似ているかもしれません。
一方で「価格が不透明である」ことはまた異なるデメリットになりえるでしょう。
いずれにしても、これらは不動産投資における収支の仕組みの特徴や、不動産という資産の特徴により起きることです。
詳しくはこれから解説していきます。
不動産の流動性について
不動産は金融資産と比べて流動性が低いと言われています。
そしてそれがリスクにもなりえるため、流動性リスクと呼ぶこともあります。
ところで流動性とは、売買のしやすさや換金・現金化のしやすさのことを指していて、つまりは不動産は現金化しづらいということです。
ちなみに、不動産を売却しようとすると、どんなに短くとも1ヶ月、長くて半年ほどかかるのが目安です。
売却に時間がかかる理由には以下のことが考えられます。
- 価格が高い
- すぐに買い手が見つからない
- 売買の手続きが煩雑
不動産は価格が高いので、買い手の立場になれば気軽に購入できるものではありません。
また、基本的に不動産の売買には仲介会社を入れて、買い手を探すことになりますが、
「価格の査定」「買い手探し」「買い手のローン審査」「宅地建物取引士による重要事項の説明」等、
売買の手続きに非常に手間がかかるといった特徴もあります。
また購入時も、売却時も「仲介手数料」が数十万円程度必要となることも、流動性を下げる要因になるでしょう。
流動性が低いことへの対策
流動性が低いことへの対策として1番なのは、「短期的に必要となる現金」を不動産に頼らないことです。
あくまでも長期的な資産形成として不動産投資は運用するべきでしょう。
そのためには、以下のことを意識しておく必要があります。
- 無理なローンを組まない
- 不動産以外に一定の資産を持っておく
- 毎月の収支をプラスにしておく
ローンが組めることが不動産投資のメリットではありますが、それでも頭金や繰上返済を活用して、返済を楽にしておくこと、
そして不動産以外にも流動性の高い資産(現金・株式等)を持っておくことを意識すると良いでしょう。
また、不動産の流動性を少しでも高めるという意味では、売りやすい物件を保有するという考え方もあります。
売りやすい物件の特徴としては、以下のことが考えられます。
- 都心の好立地
- 小回りの聞く小さな物件
- 築浅の物件
需要が高く、それほど高価格ではない都心の区分マンションが該当すると思います。
また、築浅の物件が良い理由としては、耐用年数の観点から次の購入者がローン(35年)を組みやすいためです。
不動産投資では利回りを考えると、築古・郊外の方が良かったりしますが、リスクヘッジの観点を含めるとバランスが重要になってきますね。
キャッシュインまでに時間がかかる
不動産投資における収支の特徴を考えると、多くの場合は毎月「ローンの返済」があるため、ほとんどキャッシュが入ってきません。
そのためキャッシュインが見込めるのは、基本的にはローン返済が終わった後か、物件を売却した時となります。
毎年配当を得られたり、当日中に売買ができる金融資産との違いはこのあたりにあると言えるでしょう。
ちなみに、不動産投資において収入が得られる仕組みについてはこちらをご覧ください。
不動産の価格不透明性について
不動産の価格は透明性にやや欠ける部分があり、適正な価格が把握しづらいという特徴があります。
場合によってはメリットになる(安く購入できる)こともありますが、私を含めた素人にとっては不安な面が大きいでしょう。
このようなことが起きる背景には、以下のような理由が考えられます。
- 適正な不動産価格の定義が難しい
- 取引市場が存在しない
不動産は価値を決める要素が多岐に渡り、全く同一のものが存在しません。
そのため、ある程度の指標こそあるものの、本当に適正な価格を定義づけることが困難であると考えられています。
また不動産は取引市場が存在せず、1対1の相対取引で売買が行われることからある種「言い値」に近くなってしまう側面も持っています。
例えば株式市場では、1つの銘柄に対して数多くの参加者が「買い注文」と「売り注文」を出しています。
そのため、「買い注文」が多ければ値上がりし、「売り注文」多ければ値下がりするという市場の原理が働きます。
したがって、需要と供給が一致した価格での取引が行われることになります。
不動産にはこれが無いため、例えば「物件A」を
- 買い手は「1,000万円で買いたい」
- 売り手は「1,200万円で売りたい」
となった時に、間の1,100万円になるとは限らず、交渉次第で価格が1,000万円になることもあれば、1,200万円になることもあるというわけです。
こういった理由から、知識が無い人を悪意のある人が騙そうとすれば、簡単に価格を変えることができてしまうのが不動産投資の大きなリスクと言えます。
まとめ
不動産投資では、流動性と価格の不透明性に注意が必要だと、解説をしてきました。
金融資産と比べても、この部分はかなり劣っていると言わざるを得ません。
しかし、不動産投資のメリットももちろんあるので、リスクに対する対策をしっかりとしていただければ良いのかなと思います。
流動性リスクに対しては、やはり短期的な資金は不動産以外でしっかりと確保しておくことが何より大切です。
そして、長期間物件を保有し続けられる状態を維持することが投資の成功につながるでしょう。
もう1つの価格の不透明性に対する備えとしては、自分自身が「知識とものさし」を持つしかありません。
言い換えると、不動産投資を始める際に、1社だけの営業を聞いて決めてしまうのは大変危険だということです。
なので、これから不動産投資を考える方は、多様な視点で様々な情報を仕入れて欲しいと思っています。
私自身もネットで調べたのは数知れず、セミナーや面談にも6社参加しました。
その際の経験は以下の記事にまとめていますので、よろしければご覧ください。
少なくとも押し売りのようなことはなかったので、情報収集をすることに対する安全は保証できると思います。
以上、不動産投資における流動性リスクと価格の不透明性の解説でした。