今回は「三菱ケミカルホールディングス」について紹介します。
三菱グループの1つで、日本国内最大の大手総合化学メーカーとなっています。
ただし、三菱グループではあるものの、資本はほとんど入っていないのが特徴です。
そんな「三菱ケミカルホールディングス」は高配当銘柄の1つとして有名ですが、個人的に投資判断をしてみたいと思います。
【この記事の目次】
それでは早速内容に入っていきましょう。
三菱ケミカルの事業内容
「三菱ケミカルホールディングス」は、化学製品を中心に製造するメーカーとしてに事業活動を行なっています。
多種多様の製品を持っていますが、セグメントは以下のように分類されています。
- 機能商品(機能部材・機能化学)
- ケミカルズ(MMA・石化・炭素)
- 産業ガス
- ヘルスケア
- その他
なおヘルスケアセグメントでは、子会社の田辺三菱製薬を中心に医薬品を製造しており、最近は新型コロナウイルスのワクチンで話題になっています。
2020年3月期のセグメント別の実績は以下のようになっています。
直近は産業ガスの利益貢献が大きくなっています。
また先ほど、ヘルスケアセグメントにおける医薬品について触れましたが、構成比で見ると小さいことがわかります。
セグメント構成比を見ると、主力はやはり化学品(機能商品・ケミカルズ)ですが、
現在新型コロナウイルスによって影響を受けているのも事実です。
業績の大きな傾向を考える際は、化学品に注目したいですね。
直近の業績
直近の業績は以下のようになっています。
2017年3月期〜2019年3月期にかけては増収が続いており、利益も大きく稼いでいました。
しかし、2020年3月期より新型コロナウイルスの影響もあり、大きく収益が悪化しています。
経済活動の減退による市況悪化も影響しているようですが、今後の収益回復が見えてこないと投資しづらい状況ではあります。
上期に対して、下期は収益が回復に向かうようなので、コロナの出口に近づくにつれ増収増益が期待できるかもしれません。
※参考:2021年3月期 第2四半期 決算説明より
株主還元の方針
三菱ケミカルホールディングスでは株主還元の基本方針を以下のようにしています。
企業価値の向上を通して株主価値の向上を図ること基本方針とし、配当については、今後の事業展開の原資である内部留保の充実を考慮しつつ、中期的な利益水準の30%を連結配当性向の目安とし、安定的に配当を実施する。
2021年3月期については赤字予想のため、上記方針からは無配も考えられるところですが、
「中期的な利益水準の30%配当性向」かつ「安定配当」を基本方針とする意味で、「24円/年」の配当が見込まれています。
今後の増配を期待するためには、業績な回復が前提となってくると考えています。
ちなみに「配当性向30%」で「24円/年」の配当を出すには、113,700百万円の純利益が必要となる計算です。
2019年3月期以前の収益力が戻ってくれば増配が見込めるでしょう。
配当利回り
続いて配当利回りですが、以下の数値を元に計算してみます。
株価:584.6円(2020年11月20日終値)
配当:24円(21年3月期予想)
ここから算出される利回りは4.1%となります。
配当利回りは高い水準ですが、今後の配当維持・増配にはやや不安があります。
今の数字だけを鵜呑みにはしない方が良いでしょう。
株価の見通し
まずは直近5年間の株価推移を確認します。
株価は2017年をピークに右肩下がりになっています。
ほぼ業績に連動していると言って間違いないでしょう。
今後の株価も業績に影響されると考えたいと思います。
また、割安性の指標となるPBRとPERを見てみると、
PBR:0.74倍 PER:赤字予想
(※2020年11月20日終値時点)
となっており、PERは赤字予想のため算出できませんが、PBRの指標上は割安であると言えます。
現状の株価は安い水準にあると思いますが、値動きの転換期を見極めるのは難しそうです。
まとめ
最後に投資判断をまとめてみたいと思います。
私は以下のように考えています。
- 主力は化学品、医薬品には期待せず
- 業績の本格回復はまだ先
- 現在の配当利回りでも魅力はある
- 株価は割安ではある
現在の状況では新型コロナウイルスのワクチン開発に目が行きがちですが、私は期待しないようにしています。
理由は、先行している製薬会社があり、規模でも劣っているからです。
セグメント構成比で見ても、やはり化学品が鍵を握ると考えています。
投資判断をする際に注目したいのは、
「コロナワクチンへの期待感が株価に織り込まれていないか」ということと、「底値」はどこかということです。
本格的な業績回復はまだ先になると思っていますので、安値を見極めていきたいと思います。
無くなることはない企業だと思えること、また1株単価は低いことから、
個人的にはナンピンするのを覚悟しつつ少量の保有から始めて見るのも良いかもしれないと思っています。