2020年9月下旬、「三菱UFJリース」と「日立キャピタル」は合併を発表しました。
今回は「三菱UFJリース(三菱HCキャピタル)」が存続会社となることが決まり、株式交換が実施されるようです。
そこで存続することとなる「三菱UFJリース(三菱HCキャピタル)」の株価に対し、この合併が与える影響を考えてみましたので、よろしければご覧ください!
【この記事の目次】
それでは早速内容に入っていきましょう。
今後の株価見通し
9月24日に正式に「三菱UFJリース」と「日立キャピタル」の合併が発表されました。
その後の株価の動きを見てみると、「9月24日終値:515円 → 10月2日終値:477円」となっており、下落しています。
この期間市場全体も下げているため、合併の影響とは言い切れませんが、少なくとも発表直後に株価上昇の要因とはなりませんでした。
さて、今後の株価見通しを考えるわけですが、合併発表直後に株価が大きく動かなかったことを踏まえると、長期的な視点で考えるべきと思います。
そこで、この記事では以下2つのポイントに絞って考えてみたいと思います。
- 合併による収益効果
- 1株利益の希薄化
合併することによって、両社の収益が合算されるので、一見利益は増えるように見えます。
しかし今回は、「日立キャピタル」の株式に「三菱UFJリース」の株式を割り当てるので、「三菱UFJリース(三菱HCキャピタル)」の株数が増え、1株利益が希薄化するリスクもあります。
そのため、このメリット・デメリットのバランスを分析して株価を予想していきます。
合併についての概要
分析に入る前に、改めて今回の合併についておさらいしておきます。
今回合併するのは、三菱グループで総資産規模で業界3位、売上高は4位の「三菱UFJリース」と、
日立製作所を筆頭株主とする、総資産規模で業界6位、売上高は8位の「日立キャピタル」です。
合併により、総資産10兆円の業界2位となる新会社が誕生します。
合併の中身は以下の通りです。
- 経営統合の方式:吸収合併
- 存続会社:三菱UFJリース(三菱HCキャピタル)
- 合併予定日:2021年4月1日
- 合併比率:三菱UFJリース1:日立キャピタル5.10
以下参考までに。
吸収合併とは、合併の種類で、一方の法人格のみを残し、他方の法人格を消滅のうえ、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させる手法。
故に、「日立キャピタル」の既存株主は「三菱UFJリース」の株式が割り当てられる訳ですね。
それでは、次からは本格的な分析に入っていきましょう。
合併による収益効果
まずは、合併が収益にもたらす効果を見てみます。
ひとまず両社の2020年3月期における業績から確認します。
収益規模は大体「三菱UFJリース」が「日立キャピタル」の2倍程といったところです。
合わせると、年間純利益1,000億円の企業となることが見込まれます。
これに加えて、シナジー効果が年間100億円(税引前利益)程度期待できると発表されています。
「三菱UFJリース」は国内を中心として、コーポレートファイナンスに加え、不動産やグローバルアセット等に強みを持ち、
「日立キャピタル」は日立ビジネスや英国のコンシューマーファイナンスを含む海外地場ビジネスに強みを持っています。
合併後はビジネス領域が拡大し、ビジネス領域、展開地域双方におけるポートフォリオの分散が実現することから、理想的な相互補完関係が構築される見通しです。
三菱UFJリースの柳井社長が「堅めに見積もった」とコメントしていることもあり、100億円のシナジー効果は充分期待できると見ています。
1株利益の希薄化
一方、 「日立キャピタル」の既存株主に「三菱UFJリース」の株式が割り当てられることによる、1株利益の希薄化について考えてみます。
現在、発行済株式数は、
- 三菱UFJリース:895,834,160株
- 日立キャピタル:124,826,552株
となっています。
「日立キャピタル」の発行済株式数の内、「日立キャピタルが保有する自己株式(7,940,885株)」と「三菱UFJリース保有分(4,909,340株)」は割当の対象外で、
111,976,327株の「日立キャピタル株」が「三菱UFJリース株」割当の対象となります。
したがって、「 1:5.10」の割合で計算すると、割当予定株数は571,079,267株です。
ここまでの数値を踏まえて、1株利益とPERを計算してみました。(※株価は9月24日終値の「515円」で計算しています。)
こうやって見てみると、合併前の1株利益の水準には及ばないことがわかります。
ただし、シナジーを考慮すると、ほぼ同水準まで利益が増えるとも言えそうです。
ちなみに、合併発表前の「PER:6.52倍」を基準に株価を算出してみると以下のようになります。
現在(10月2日終値)の株価が「477円」であることを考えると、「451円」を1つの指標にしてみようかと考えています。
結論としては、シナジー効果が想定通りに表れれば、1株利益が希薄化することはないと考えて良さそうです。
まとめ
ここまで公表数値を分析してきましたが、今回の合併比率については客観的にも適正と言えそうです。
そのため、株価への影響もほとんど出ていないのでしょう。
なお、「三菱UFJリース」は元々高配当利回り銘柄でしたが、合併後の株主還元については、以下のように発表しています。
統合新会社は、株主への利益還元が経営上の重要課題であるとの認識のもと、本経営統合後の中期的な連結業績の推移及び見通しを反映した利益還元の実施を基本としつつ、本経営統合による株式価値の向上、自己資本充実とのバランスなどを総合的に勘案の上、安定的な配当の継続に努めます。
現時点では明言を避けているようですね。
ただし、「三菱UFJリース」は現在21期連続増配中であることから、新型コロナウイルスの影響下ではあるものの、僅かに増配してくるのではないかと考えています。
となると、配当利回りは現在の株価に対して5%を超えるので、充分魅力的だと言えそうです。
長い目で見れば、いずれ上昇基調に乗ると予想しつつ、
個人的には、株価が500円以下を目安に買いのタイミングを見計らっていきたいと思います。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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