今回は、株式の配当を受け取っている投資家向けに、どのような税申告方法を取れば有利になるかを解説していきたいと思います。
配当控除を受ける際には確定申告も絡んできますので、手続き等の手間が発生する場合もありますが、不要な税金を支払わないことは、収入増と捉えることもできます。
ぜひ配当所得における税申告方法を理解し、有利な形で納税をするために参考にしてください。
【この記事の目次】
それでは早速内容に入っていきましょう。
配当所得の税申告方法
多くの場合配当金を受け取る際は、所得税(約15%)と住民税(5%)が源泉徴収されます。
実際に受け取る金額は、既に税金を差し引いた後になりますので、「源泉徴収=納税済」と認識して間違いありません。
今回は源泉徴収よりも有利かどうかを基準に説明していきます。
まず、源泉徴収を受けた後の税申告方法は2つあります。
- 総合課税
- 申告分離課税
ここからは、それぞれの税申告方法の特徴と、どのような場合にどちらの申告方法が有利になるのかを確認していきましょう。
総合課税
配当金は源泉徴収にて納税が完了する独立した課税対象となっています。
しかし、確定申告を行ない、他の所得と合算して所得税を計算する方法を「総合課税」といいます。
この「総合課税」は主に「配当控除」受けるために活用します!
なお配当控除とは、株式の配当所得に対して10%、投資信託の配当所得に対しては5%の税率分が控除される仕組みです。
ただし、課税所得金額が1,000万円を超えた場合は控除額が変わります。
確定申告にて総合課税を選択すると、「配当控除」の額と「既に源泉徴収された所得税」の額が納付すべき所得税額から控除されます。
納付すべき所得税額をこの控除額が超えた場合は所得税が還付されます。
詳細は以下の記事をご参照ください!
申告分離課税
「申告分離課税」は「総合課税」が他の所得と合算して所得税を計算するのに対し、所得税を計算する際に独立して税率を掛ける方法です。
つまり、「申告分離課税」では配当所得の納税を源泉徴収(約20%)の税率で計算します。
また、株式の売却益=「株式等に係る譲渡所得」は「申告分離課税」においても配当所得と合算できます。
この「合算」は損失においてもできるので、株式の譲渡損失と配当額を相殺することで所得税を減らすことができます。
これを「損益通算」といいます。
損益通算についてはこちら!
なお、配当控除(総合課税)と申告分離課税を併用することはできませんので、どちらか効果の高い方を選択しましょう。
所得金額による有利な申告方法
ここまで「総合課税」と「申告分離課税」の2つの申告方法を紹介してきましたが、
総合課税における「配当控除」は、活用した方が得な場合と、損をしてしまう場合が所得金額に応じて決まります。
源泉徴収では所得税:約15%、住民税:5%の合計約20%の税金が差し引かれています。
この「源泉徴収における税率」と「総合課税にて配当控除を活用した際の税率」のどちらが有利かが判断基準となります。
課税所得金額別に総合課税を活用すると有利になるか否かを以下の表にまとめました。
総合課税では課税所得金額が増えるほど税率が高くなっていきますので、課税所得金額が900万円を超える場合は配当控除を活用すると不利になってしまいます。
反対に900万円以下の場合は、「源泉徴収における所得税:約15%」よりも控除後の税率が低くなりますので、配当控除を活用したほうが有利になります。
ここまで所得税についての解説をしてきましたが、住民税にも「総合課税」と「申告分離課税」があります。
総合課税を選択した場合の有利/不利は以下の表の通りです。
住民税にも配当控除はありますが、源泉徴収の税率:5%の方が常に有利になりますので、総合課税にしない方がお得です。
ただし、確定申告にて所得税に総合課税を適用した場合、自動的に住民税も総合課税が適用されてしまいます。
そのため、住民税は「申告分離課税」にする手続きを忘れないようにしましょう。
詳細は以下の記事をご参照ください!
まとめ
配当金を受け取る際は、源泉徴収によって自動的に納税がされていますので、放っておいても問題はありませんが、きっちりと手続きをすれば払いすぎた税金が返ってくる場合があります。
税申告方法による有利/不利をしっかりと把握した上で、少しでも収入増を実現しましょう。
確定申告はやや面倒に感じると思いますが、慣れてしまえばそれほど大変でもありません。
確定申告のやり方を解説した記事も載せておきますので、よろしければご覧になって今年から確定申告をしてみてはいかがでしょうか。